ヨーロッパ原子核研究機関(読み)ヨーロッパげんしかくけんきゅうきかん(その他表記)Organisation Européene pour la Recherche Nucléaire; European Organization for Nuclear Research

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ヨーロッパ原子核研究機関
ヨーロッパげんしかくけんきゅうきかん
Organisation Européene pour la Recherche Nucléaire; European Organization for Nuclear Research

ヨーロッパを中心とする 21ヵ国が共同で運営する素粒子物理学の研究機関。1952年に Conseil Européen pour la Recherche Nucléaireとして発足し,1954年にヨーロッパの 12ヵ国により現名称で設立された。通称は CERNセルン)で,旧名略称が今日でも使われる。所在地はスイスのジュネーブで,巨大な実験装置はスイスとフランスの国境にまたがって設置されている。周囲約 7kmに及ぶ最大 4500億eV(電子ボルト)の陽子シンクロトロン SPS(→シンクロトロン)は,2700億eVまで加速した陽子と反陽子(→反核子)の衝突実験によって,ウィークボソンWボソンZボソンを発見するなど,多大な成果を上げた。また鉛の原子核を 1核子あたり 1700億eVに加速できる。900億eVの電子・陽電子コライダー LEP(→コライダー)があったが 2000年に取り壊され,2008年9月,その跡地に周囲約 27km,最大 14兆eVの陽子同士の衝突装置である大型ハドロン衝突型加速器 LHCが完成した。LHCは 2010年3月に各ビームを 3.5兆eVまで加速することに成功。また,2012年7月,LHCで実験を行なっていた科学者が,ヒッグス粒子が転換した結果と思われる現象を発見したと発表した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android