電子ボルト(読み)デンシボルト

デジタル大辞泉 「電子ボルト」の意味・読み・例文・類語

でんし‐ボルト【電子ボルト】

エネルギー単位。1電子ボルトは1個の電子が真空中で1ボルトの電位差で加速されたときに得るエネルギーで、1.602×10-19ジュール。記号eV エレクトロンボルト
[補説]素粒子質量を表す単位としても用いられる。記号はeV/c2(cは真空中の光速度)またはeV。1eVは1.78×10-36キログラム。陽子の質量は0.938GeV電子の質量は0.511MeV

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精選版 日本国語大辞典 「電子ボルト」の意味・読み・例文・類語

でんし‐ボルト【電子ボルト】

  1. 〘 名詞 〙 ( ボルトは[英語] volt ) エネルギーの単位。一電子ボルトは一個の電子を一ボルトの電位差で加速する時、電子の得るエネルギーとして定義され、1.602×10-19 ジュールに等しい。加速された電子・陽子などや物質内の電子や原子のエネルギーを表わすときによく用いられる。エレクトロンボルト。記号 eV
    1. [初出の実例]「もしも開裂されれば、その各々が数百万電子ボルトのエネルギーを放出するかも知れない」(出典:原子力の将来(1947)〈山屋三郎訳〉原子の開裂)

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改訂新版 世界大百科事典 「電子ボルト」の意味・わかりやすい解説

電子ボルト (でんしボルト)
electron volt

粒子(電子,陽子など),原子,分子,電離放射線などがもつエネルギーの単位。エレクトロンボルトとも呼ばれ,記号eV。1eVは,1個の電子が真空中で電位差1Vの電極の間で加速されるときに得るエネルギーに等しい。電子のもつ電荷は約1.602×10⁻19Cであり,一方,1Cの電荷をもつ粒子が1Vの電位差の2点間で加速されて得るエネルギーが1Jと定められているから,1eVは約1.602×10⁻19Jである。エネルギーが高い場合には,その程度により,キロ,メガ,ギガの接頭語をつけて,それぞれキロ電子ボルトkeV,メガ電子ボルトMeV,ギガ電子ボルトGeVの単位が用いられる。紫外線,可視光線などの光子1個のエネルギーも,その波長λ(nm)が知れると,およそ1240/λによってeV単位で表すことができる。例えば,波長200nmの紫外線のエネルギーは約6.2eVである。
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化学辞典 第2版 「電子ボルト」の解説

電子ボルト
デンシボルト
electron volt

エネルギーの単位.記号 eV.エネルギーの単位としてカロリージュールがあるが,単一の原子・分子に関する現象を述べるには,あまりにも大きすぎて不便であるので,通常,電子ボルトという単位が使用されている.単位電荷をもった荷電粒子,たとえば1個の電子が静止状態から出発して1 V の電位差間を妨害を受けずに移動するときに必要なエネルギー.便宜上,103 電子ボルトを keV,106 電子ボルトをMeV,109 電子ボルトを GeV と略記する.水素原子から電子を取り去るのに要するエネルギーは13.6 eV,また放射性同位体のコバルト60は1.17および1.13 MeV のエネルギーをもったγ線を放出する.ジュール(J)への換算は電荷素量の測定の精度に依存するが,

1 eV ≈ 1.6021×10-19 J,
熱化学的単位への換算は

1 eV ≈ 23.06 kcal mol-1

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電子ボルト」の意味・わかりやすい解説

電子ボルト
でんしボルト
electron volt

エレクトロンボルトともいう。素粒子,原子核,原子,分子などのエネルギーを表わす実用単位。記号は eV 。 1eV は,真空中において電位差 1V の2点間で電気素量 e の荷電粒子が加速されるときに得る運動エネルギーである。近似的に 1eV は 1.6021892×10-19J である。 106eV をミリオン電子ボルトまたはメガ電子ボルトといい,記号 MeV (メブ) を用いる。 109eV をギガ電子ボルトといい,記号 GeV (ジェブ) で表わす。アメリカでは GeVを billion electron voltの略で,BeV (ベブ) と表記することもある。原子,分子では電子ボルト程度,原子核ではミリオン電子ボルト程度,素粒子ではミリオン電子ボルトからギガ電子ボルト程度のエネルギーの転移が主として問題となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電子ボルト」の意味・わかりやすい解説

電子ボルト
でんしぼると
electron-volt

1個の電子が1ボルトの電位差によって受けるエネルギーで、荷電粒子のエネルギーを表すのに用いる単位。エレクトロンボルトともいう。記号はeVで表す。SI単位で表される数値が実験的に求められる非SI単位の一つである。1電子ボルトは1.6027653×10-19Jに等しい。国際単位系(SI)では、特別な領域でSI単位と併用してよいとしている。電磁放射(光子)のエネルギーを電子ボルトで表す近似的な方法として、波長λをナノメートル(nm)で表せば、10-4程度の精度で、1234/λeVで与えられる。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]

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百科事典マイペディア 「電子ボルト」の意味・わかりやすい解説

電子ボルト【でんしボルト】

エレクトロンボルトとも。素粒子,原子核,原子,分子などのエネルギーを表す単位。記号eV。電気素量eの電荷をもつ粒子が真空中で電位差1ボルトの2点間で加速されるとき得るエネルギーに等しい。1電子ボルト=1.602×10(-/)12エルグ=1.602×10(-/)19ジュール。100万電子ボルトをMeVと書く。
→関連項目エネルギー

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単位名がわかる辞典 「電子ボルト」の解説

でんしボルト【電子ボルト】

素粒子・イオンなどがもつエネルギーの単位。記号は「eV」。1eVは1個の電子を真空中で1Vの電位差で加速した場合、その電子が得るエネルギー。その値は1.60218×10-19ジュールにあたる。おもに原子物理学で使われる単位で、一般にエネルギーはジュール(J)を使用。

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