ラン藻(読み)らんそう

百科事典マイペディア 「ラン藻」の意味・わかりやすい解説

ラン(藍)藻【らんそう】

単細胞または群体をつくる一群の青紫色の藻類。多くはネンジュモユレモのように細胞が1列に並んだ微視的なものであるが,スイゼンジノリなどのように群体をつくって,大きさが数mm〜数cmになるものもある。細胞には明瞭な形の核や色素体がないため,近年では細菌とともに原核生物とされることが多い。生殖は無性的な分裂により,有性生殖は知られない。葉緑素のほか,フィコシアニンなどの色素タンパク質を含む。同化生成物はラン藻デンプンやグリコーゲンなど。淡水にも海水にも生育し,80℃以上の高温度の温泉中に生育するものも知られる。スイゼンジノリなど食用とされるものもある。先カンブリア時代に大気中に酸素を放出し,地球上に酸化的な環境を作りだしたのはラン藻類であったと考えられる。
→関連項目原核生物スイゼンジノリ藻類

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラン藻」の意味・わかりやすい解説

ラン藻
ランそう
Cyanophyta

核膜を持たない原核生物で,海中にすむ植物プランクトン。世界中の海洋に生育しており,光合成を行なうことができるため,地球上の酸素の大きな供給源として重大な意義を持つ。また,ラン藻は,原始大気中に多量の酸素を放出し,その結果,現在の陸上生物の生存が可能になったとされる。チラコイドに似た膜系を光合成器官として持つなど,葉緑体構造・機能ともに共通する点が多く,このためラン藻を葉緑体の起源とする説もある。

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世界大百科事典(旧版)内のラン藻の言及

【先カンブリア時代】より

…スペリオル湖型とよばれる縞状鉄鉱層は世界の楯状地に分布し,20億~25億年前に形成されたこの型の鉱床が世界の80%を占める。先カンブリア時代特有のこの鉄鉱床は大陸棚または劣地向斜の浅い海で形成されたもので,ラン藻植物に由来する分子状酸素によって海水にとけていた2価の鉄イオンが酸化をうけて,いっせいに沈殿したものとされている。
[資源]
 先カンブリア時代の鉄鉱床はスペリオル湖地域だけで鉄として1011tをこす埋蔵量を有する。…

【土壌微生物】より

…細菌にくらべて一般に耐酸性が強く,酸性土壌においてとくに有機物分解に重要な作用を行っている。藻類のおもなものは,緑藻,ラン藻,ケイ藻であり,光エネルギーを利用する無機栄養生物である。ラン藻のあるものは窒素固定能を有し,水田の肥沃化に役だっている。…

※「ラン藻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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