日本大百科全書(ニッポニカ) 「リウィア」の意味・わかりやすい解説
リウィア
りうぃあ
Livia Drusilla
(前58―後29)
古代ローマの貴婦人。アウグストゥスの妻。夫の死後ユリア・アウグスタIulia Augustaと改名した。最初ティベリウス・クラウディウス・ネロと結婚、2代皇帝ティベリウスと、ゲルマニクスの父ネロ・クラウディウス・ドルススNero Claudius Drusus(前38―前9)をもうけた。後者を妊娠中、オクタウィアヌス(後の皇帝アウグストゥス)と再婚し、その後の結婚生活は模範的なものとされる。アウグストゥスのすべての事業に協力し、後世の皇帝の妻の模範とされ、護民官の神聖不可侵権、夫の後見なしに財産を処分できる権利など数多くの栄誉を授けられた。夫の死後、遺言によりユリウス氏族の養女とされ、「アウグスタ」の称号を与えられた。アウグストゥスの後継者争いでは、息子のティベリウスを強力に支援し、一説には競争相手たちを暗殺したともいわれる。また、ティベリウスの時代には大きな影響力をもち、彼の過酷さに対して市民を保護したとも伝えられる。
[島田 誠]