改訂新版 世界大百科事典 「ゲルマニクス」の意味・わかりやすい解説
ゲルマニクス
Germanicus Julius Caesar
生没年:前15-後19
ローマの政治家,軍人。ティベリウス帝の弟N.C.ドルススの長男,大アグリッピナの夫。紀元4年にティベリウスの養子となり,若くしてパンノニアやゲルマニアに従軍し,13年にライン川方面の軍司令官となった。14-16年にはゲルマンの諸部族と交戦し,多くの功績をたてた。17年にティベリウスにより東方属州の上級命令権を与えられアルメニアやアシアを巡察したが,19年シリアのアンティオキアで急死。一説では,彼と対立していたシリア総督ピソとティベリウスによる毒殺とも言われる。彼は有能な軍人である一方,共和主義者で,魅力的な人柄であったため,民衆の人気も高く,また詩や戯曲を書く教養人でもあった。
執筆者:島 創平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報