リクナビ個人情報漏洩問題(読み)りくなびこじんじょうほうろうえいもんだい

知恵蔵 の解説

リクナビ個人情報漏洩問題

学生が利用する就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア社が、学生の同意を得ずに、内定の辞退率を予測し、データとして企業に販売していた問題
この問題は、まず、リクナビを利用して特定の企業(以降企業)の選考に参加した学生のうち、前年に企業からの内定を辞退した学生のリストを企業側が作成して同社に提供。次に、同社が、企業から提供されたリストにある、内定辞退者のリクナビ閲覧履歴をもとにして、AI(人工知能)を使い、「内定後も他の企業を閲覧しているか?」などといった動向を分析して「内定辞退率」を予測する。企業側は、さらに今年就職を希望する学生のリストを作成して同社に提供。同社は、企業から提供されたリストを、今年の就職希望者の閲覧履歴データに適用し、学生個人の辞退率を5段階で予測し、企業側に販売するという流れだった。同社は、予測対象となった学生約7万5千人のうちの約8千人については、利用規約の不備で「同意を得ていなかった」としたものの、他の約6万7千人については「データの利用に同意を得ていた」と主張している。しかし、厚生労働省は、多くの学生にとって「同意を余儀なくされた状態」であったと判断し、2019年9月6日、同社の個人情報の取り扱いが不適切であり、職業安定法に反するとして、同社を行政指導した。この問題が発覚して以降、一部大学などでは、就活イベントに同社を呼んだり、学生にリクナビへの登録を紹介したりといったことを今後一切行わない方針を出している。

(横田一輝 ICTディレクター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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