ルバロア文化(読み)ルバロアぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「ルバロア文化」の意味・わかりやすい解説

ルバロア文化 (ルバロアぶんか)

旧石器時代石器製作技法一つに,パリ近郊のルバロア・ペレLevallois-Perret遺跡にちなんで名づけられたルバロア技法Levallois techniqueがある。あらかじめ意図する形態の剝片を,たやすくしかも確実に得ることができるように考案された。まず石核の四周を打ちかき,さらにその表面から石片を剝ぎ取っておおよそのかっこうを整え,次いで一端に細かい調整を施して打面とし,最後にそこに強い打撃を加えることによって,ほぼ完成した形態の剝片を石核から剝離する。前期旧石器時代アシュール文化の終りころから発達しはじめ,中期旧石器時代には,ヨーロッパに栄えたムスティエ文化を中心とした諸文化の間に普及し,やがて西アジア,アフリカにも達した。後期旧石器時代にも旧大陸の各地にその伝統は残っている。かつては,この技法によって製作された石器を特徴とするルバロア文化が存在したとする考えがあったが,現在では,いくつかの地方の特徴を異にする諸文化の間に,ルバロア技法が浸透していったものと解されており,東アフリカでのみこの名称が使われている。
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百科事典マイペディア 「ルバロア文化」の意味・わかりやすい解説

ルバロア文化【ルバロアぶんか】

旧石器時代の石器製作技法の一つであるルバロアLevallois技法にちなんで命名された石器文化。ルバロア技法はあらかじめ亀甲状に形を整えておいた石核に,最後に打撃を加えて剥片を得るもの。ムスティエ文化などに見られ,かつてはこの技法に特徴づけられるルバロア文化の存在が考えられたが,現在では各文化にルバロア技法が浸透したものと解釈され,東アフリカでのみこの名称が使われる。
→関連項目アフリカ旧石器

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