メキシコ原産のマメ科の常緑小高木。染料をとる目的で栽培される。高さ7~10mときにそれ以上の樹高になり,幹の表面には深い縦溝がある。葉は3~4対の小葉からなる羽状複葉で,葉腋(ようえき)にはするどいとげがある。花は葉腋から房になってつき,萼は鮮紅色,花弁は黄色で芳香がある。花後に長さ4~6cmの莢(さや)ができ,中に1~3個の種子がみのる。繁殖は種子による。10~20年生の木を伐採し,辺材をそぎ落として,赤褐色の心材をきざんで屋内に積み,水をかけてときどき切り返しながら2~4週間発酵させると,紫色をおびた黒褐色となる。これを水で煮出して染料を抽出し,60℃以下で水分を蒸発させると,材の重量の約15%の黒褐色のエキスが得られる。このエキスの成分がヘマトキシリンhaematoxylinで,毛,絹,木綿,麻などを染める染剤に用いられる。ふつう鉄媒染によって黒色に染め上げるが,媒染剤を変えると紫や緑にも染められる。また顕微鏡用の標本の染色剤として重要である。現在の主産地は南メキシコ,中央アメリカ,コロンビア,ベネズエラ,ギアナ,ジャマイカなど。かつてヨーロッパへ丸太のままで輸出されたので,logwoodと呼ばれるようになった。材は硬いので工芸品をつくるのに用いられ,また薪炭材にもされる。花は西インド諸島で重要なみつ源とされている。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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