改訂新版 世界大百科事典 の解説
ローレンツ=ローレンツの式 (ローレンツローレンツのしき)
Lorentz-Lorenz's formula
気体の屈折率と,その気体の分子の分極率との関係を表す式。気体の屈折率をn,密度をρとし,その気体の分子の分子量をM,分極率をα,アボガドロ数をNA,真空の誘電率をε0とすると,で表される。この関係式は,オランダのH.A.ローレンツとデンマークのL.V.ローレンツLudwig Valentin Lorenz(1829-91)によってそれぞれ独立に導き出されたもので,気体の屈折率nは,本質的にその気体の分子の分極率αが与えられれば求められることを示している。右辺の量はR0と書かれ,モル屈折と呼ばれる。ローレンツ=ローレンツの式は,比誘電率と分極率との関係を与えるクラウジウス=モソッティの式,の両辺に(M/ρ)を掛け,ε=n2とおけば得られる(εは比誘電率,Nは単位体積内の分子数)。クラウジウス=モソッティの式は,電気分極におけるローレンツの局所電場Fが,F=E+(1/3ε0)Pで与えられ(Eは誘電体内の巨視的電場,Pは電気分極),電気分極PがP=NαFで与えられることから,電磁気学の基礎的な式,D=ε0E+P,D=εε0Eを用いて導かれる(Dは電束密度)。
執筆者:中村 輝太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報