群馬県富岡市一ノ宮に鎮座。古くは抜鉾(ぬきさき)明神、貫前神社とも称す。祭神は、国譲(くにゆずり)神話に活躍する経津主神(ふつぬしのかみ)と、養蚕機織(ようさんはたおり)の神といわれる比売大神(ひめおおかみ)である。社伝によれば、安閑(あんかん)天皇元年3月の創祀(そうし)という。史料上の初見は『新抄格勅符抄』大同(だいどう)元年(806)の牒(ちょう)に神戸(かんべ)2戸をあてられたことがみえる。839年(承和6)には従(じゅ)五位下、その後累進して916年(延喜16)には従二位となる。延喜(えんぎ)の制で名神(みょうじん)大社、のち上野(こうずけ)国一宮として信仰を集め、明治の官制では国幣中社に列せられた。例祭は3月15日。そのほか生弓矢生太刀(いくゆみやいくたち)神事(1月7日)、筒粥(つつがゆ)神事(1月15日)、御戸開祭(みとびらきさい)(3月14日、12月12日)、鹿占(しかうら)神事(12月8日)などの特殊神事が多い。12年ごとの申(さる)年から酉(とり)年にかけて式年遷宮を行うのを例としている。本殿、拝殿、楼門は国の重要文化財である。
[茂木貞純]
…経津主(ふつぬし)神,比売(ひめ)大神をまつる。現社名一之宮貫前神社。創建年代不詳。…
※「一之宮貫前神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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