一酸化ケイ素(読み)いっさんかけいそ(その他表記)silicon monoxide

改訂新版 世界大百科事典 「一酸化ケイ素」の意味・わかりやすい解説

一酸化ケイ(珪)素 (いっさんかけいそ)
silicon monoxide

化学式SiO。別名モノックスmonox。密度2.24g/cm3の不透明な黒色ガラス状粉末で,融点1700℃以上。二酸化ケイ素SiO2炭素または炭化ケイ素を反応させてつくる。空気中では表面が酸化され二酸化ケイ素の被膜を形成するので,薬品等に侵されにくい。水に入れると反応して水素を発生する。フッ化水素酸,あるいはフッ化水素酸と硝酸の混合物に可溶。温アルカリ溶液には溶けて水素を発生し,ケイ酸を生ずる。酸素中では燃える。ケイ素と同様に硬く,研磨材として用いられ,押し固めて研磨用円板をつくる。熱,電気のすぐれた絶縁体であり,赤熱しても絶縁性を失わない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「一酸化ケイ素」の解説

一酸化ケイ素
イッサンカケイソ
silicon monoxide

SiO(44.08).モノックスと俗称される.二酸化ケイ素に炭素または炭化ケイ素を反応させてつくる.不透明な黒色の粉末.密度2.24 g cm-3.融点1700 ℃ 以上,沸点1880 ℃.空気中で酸化され,表面に二酸化ケイ素の被膜を生じ,安定化する.水に入れると水素を発生する.フッ化水素酸と硝酸の混合物に溶ける.アルカリ水溶液と温めると水素を発生し,ケイ酸塩となる.熱や電気の絶縁体としてすぐれている.加熱すると赤外線を放射する.研磨剤,レンズや鏡の光学蒸着薄膜(反射率,透過率の向上),半導体回路や素子の絶縁膜・保護膜,暖房加熱器具,高純度ケイ素の製造などに用いられる.[CAS 10097-28-6]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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