精選版 日本国語大辞典 「七厘」の意味・読み・例文・類語
しち‐りん【七厘・七輪】
- 〘 名詞 〙 ( 物を煮るのに、価が七厘ほどの炭でまにあう意からという ) 焜炉(こんろ)のうち、特に土製のものをいう。かんてき。七厘がま。
- [初出の実例]「七リンひびく入相のかね〈信章〉 薬鍋三牛の古寺汲あげて〈芭蕉〉」(出典:俳諧・桃青三百韻附両吟二百韻(1678)奉納二百韻)
- 「お蝶はしちりんの炭を継(つぎ)、白湯(さゆ)を汲で来りお由に呑せ」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)三)
七厘の語誌
( 1 )近世中期から用いられはじめ、明治時代には各家庭に普及していた。
( 2 )近世後期になると、上方では「かんてき」と呼ぶようになった。「浪花聞書」には「かんてき者 気早者也。かんてきは銅鍋を云。にゑが早いと云心か」とある。これが正しいとすると、癇癪持ちの意の「かんてき」から派生した語義ということになる(ただし、「かんてきは銅鍋を云」は誤りといわれる)。