日本大百科全書(ニッポニカ) 「三共」の意味・わかりやすい解説
三共
さんきょう
製薬会社の旧名称。創業者塩原又策(またさく)(1877―1955)が友人2人と共同で1899年(明治32)に三共商店を設立、高峰譲吉がアメリカで発見、特許を取得した「タカジアスターゼ」の輸入販売を開始。1912年(大正1)には鈴木梅太郎が世界で初めて発見したビタミン、「オリザニン」を製品化した。1913年に三共(株)を設立、第一次世界大戦下の薬品輸入の途絶期に、相次いで新薬の国産化に成功した。第二次世界大戦後は1951年(昭和26)に抗生物質クロラムフェニコール(商品名「クロロマイセチン」)を国産化、61年には活性ビタミン剤「ビオタミン」を発売、89年(平成1)には高脂血症治療剤「メバロチン」を発売した。アメリカのファイザー社、イギリスのグラクソ・スミスクライン社など有力メーカーとの提携も多かった。2005年9月、第一製薬と共同持株会社、第一三共を設立し、その完全子会社となったのち、07年4月第一製薬とともに第一三共に吸収合併された。三共株式会社の資本金687億円(2005)、売上高3401億円(2005)。
[中村清司]
『三共百年史編集委員会編『三共百年史』『三共百年史 資料編』(2000・三共株式会社)』