クロラムフェニコール(読み)くろらむふぇにこーる(英語表記)chloramphenicol

翻訳|chloramphenicol

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロラムフェニコール」の意味・わかりやすい解説

クロラムフェニコール
くろらむふぇにこーる
chloramphenicol

1947年に南アメリカのベネズエラ土壌から発見されたストレプトミセス・ベネゼエレStreptomyces venezuelaeという放線菌培養液から得られた抗生物質で、「クロロマイセチン」(クロマイ略称)の商品名で有名である。合成に初めて成功した抗生物質としても知られる。白色ないし黄白色の結晶または結晶性粉末で、においはなく味は苦い。グラム陽性菌グラム陰性菌スピロヘータリケッチアクラミジアに有効で、広域性抗生物質の一つである。以前は繁用されたが、悪性貧血など重篤な副作用のため、現在では点眼液など外用のほかは、内服では腸チフスなど特定の感染症のみにしか適応されず、使用量は激減した。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロラムフェニコール」の意味・わかりやすい解説

クロラムフェニコール
chloramphenicol

放線菌に属する Streptomyces venezuelaeから分離された抗生物質。融点 150℃。白色,帯黄色の針状または板状の結晶で,臭気はなく,苦みがある。抗生物質中,最初に合成に成功し,工業的に生産されている。グラム陽性菌,陰性菌,リケッチアやウイルスなど,広い範囲の微生物の発育阻止作用があり,かつては,テトラサイクリン系薬剤とともに,抗生物質の双璧として多用されたが,副作用として造血障害が知られたため,現在では,パラチフスや腸チフスなどの特別な場合以外は,ほかの抗生物質で効果がないとき使用される程度である。商品名クロロマイセチン,アーマイ,ネオマイゾンなど。

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