朝日日本歴史人物事典 「三吉正一」の解説
三吉正一
生年:嘉永6.10(1853)
明治時代の電気技術者,実業家。周防国岩国(岩国市)に生まれた。富岡製糸場に勤め,足踏製糸機械を発明。のち工部省の東京電信修技学校で学び,巻線機械を発明した。電信機械製造技手となったが,同郷の藤岡市助のすすめにより,明治16(1883)年にわが国最初の重電機メーカー三吉工場を東京芝に設立,20年三吉電機工場となり電鉄用電動機などを製造した。また23年に藤岡と白熱舎を設立,白熱電球の国産化に努めた。日清戦争後の不況により三吉電機工場は解散したが,発明の才に恵まれ,職人肌であるとともに侠気があり,藤岡の成功も三吉によって支えられていた。配下の徒弟を工手学校に通わせるなど後進の育成にも熱心で,重宗芳水(明電舎),小田荘吉(小田電機工場)らを育てた。<参考文献>「元三吉工場旧友会」(『電気之友』254号),田岡忠次郎『故三吉正一君事蹟之大要』
(高橋雄造)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報