三戸遺跡(読み)みといせき

日本歴史地名大系 「三戸遺跡」の解説

三戸遺跡
みといせき

[現在地名]三浦市初声町三戸 谷の前

三浦半島西岸の相模湾を望む標高二八メートルの台地先端にある。縄文時代早期の三戸式土器の標式遺跡で、かなり広い範囲に土器片の散布をみる。三戸式土器は沈線文様のある土器で、尖底の深鉢形であり、類似の土器文化が東北地方に広がる。また中部地方系の押型文土器を少量出土し、縄文文化の起源にかかわる古い土器として盛んに議論されたことがある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三戸遺跡」の意味・わかりやすい解説

三戸遺跡
みといせき

神奈川県三浦市初声(はつせ)町三戸谷の前にある縄文時代早期の三戸式土器の標式遺跡である。相模(さがみ)湾に向けて張り出した標高約28メートルの台地の先端部一帯の広い範囲に遺物の散布をみる。南側に小網代(こあじろ)湾を望む。昭和初年に赤星直忠によって発見され、その後に三戸式土器の設定をみる。三戸式は、平行細沈線文(さいちんせんもん)、条痕文(じょうこんもん)、格子目文(こうしめもん)などの文様をもち、特異な形の尖底(せんてい)を特徴とする。また押型文(おしがたもん)土器を伴う。1966、67年(昭和41、42)、岡本勇らによる発掘が行われ、黒土層下部および褐色土層より多量の資料が得られた。しかし、石器はきわめて乏しく、礫器(れっき)、石鏃(せきぞく)などが二、三出土したにとどまった。住居址(し)などの遺構は発見されていない。

[岡本 勇]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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