スクレーパー(読み)すくれーぱー(英語表記)scraper

翻訳|scraper

デジタル大辞泉 「スクレーパー」の意味・読み・例文・類語

スクレーパー(scraper)

《原義は「こするもの、はがすもの」の意》
土木機械の一。鉄製容器の前方下部に取り付けた刃板で路面を削って土をすくい込み、運搬し、捨てる車。
ウェブスクレーパー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「スクレーパー」の意味・読み・例文・類語

スクレーパー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] scraper )
  2. 工具の一つ。仕上げ用のけずり刃物。きさげ。〔舶来語便覧(1912)〕
  3. 土木工事用の掘削機(くっさくき)の一つ。掘る、運ぶ、捨てる、または、すくい込み、運搬、散布三役をする車。
  4. 先土器時代(四~一万年前)の石器の一つ。掻器、削器と訳される。硬質頁岩(けつがん)黒曜石安山岩などの原石を加工し、獣皮の剥離切断に使用された。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スクレーパー」の意味・わかりやすい解説

スクレーパー(石器)
すくれーぱー
scraper

掻(か)き取ったり、削り取ったりする道具(石器)の総称。世界各地に認められる。掻器(そうき)end-scraperと削器(さっき)side-scraperの二つに区分することができる。掻器は、石刃(せきじん)bladeまたは剥片(はくへん)flakeの端部に二次的な調整剥離(はくり)を規則的、連続的に加え、円弧状の刃部形態をつくりだした石器である。刃部は45度前後以上の分厚い断面をなすものが多い。削器は、石刃または剥片の側縁部に二次的な調整剥離を加えた石器で、刃部断面形は概して掻器のそれよりも薄い。

 掻器・削器ともに後期旧石器時代(約3万5000~1万2000年前)においてもっともよく発達し、多様な形態が製作された。これは世界的に共通していえることであり、この時代には両者の違いも技法的にはっきりしていた。しかし石器のなかでもスクレーパーは、使用による形態の変形が激しい器種である。そのため形態の違いが、時代の差ではなく、使用による変形の程度の反映であることがあるので注意を要する。やがて旧石器時代から中石器時代に移行するにしたがって、しだいに形態学的にも区別が不明確となり、新石器時代に入って両者の明確な区分は崩壊する。日本の場合も最初に土器づくりが始まったころ(縄文時代草創期)までは、一部で旧石器時代とほとんど変わらないような掻器・削器がつくられる。しかしそれ以降は典型的な掻器は消滅して、つまみ状の突起一端に設けたスクレーパーが発達する。この形態は縄文時代に広く認められる。縄文時代以後、弥生(やよい)時代にもスクレーパーはあるが、型式学的な定型を保ったものは減少し、不定形なものが多くなる。

小野 昭]


スクレーパー(掘削機械)
すくれーぱー

掘削機械

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「スクレーパー」の意味・わかりやすい解説

スクレーパー
scraper

(1)鉱山において掘り出された岩石や鉱石片をかき寄せ,運搬車に積み込むための掘削刃付きすくい箱。ウィンチを利用して引綱でスクレーパーを引き寄せ,シューターから運搬車などに積み込む。からになったスクレーパーは戻し綱によって元の位置に戻される。

(2)土木工事に使用される建設機械。道路建設や広大な宅地造成に使用する。車体下部に掘削刃のついた土砂運搬用容器(ボウル)をもち,ボウルを下降して土砂の掘削積込みを行い,可動式のふたにより土砂の流出を防止して目的地まで運搬,捨土を行う。
建設機械
執筆者:(3)打製石器の一つ。搔器,削器と訳される。剝片に細かな調整を加えて刃部を作り出したもので,細長い剝片の短辺の一つに刃を持つもの(エンドスクレーパー),長辺の一つに刃をもつもの(サイドスクレーパー)などがある。中期旧石器時代以降各地でみられ,主として動物の解体・加工に用いられたと考えられる。縄文時代の石匙(いしさじ)もこの一種。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「スクレーパー」の意味・わかりやすい解説

スクレーパー

(1)移動しながら車体底部にある切刃で土砂を切削して運搬する建設機械。整地などに使用。トラクターに牽引されるキャリオールスクレーパーと自走するモータースクレーパーとがある。→掘削機(2)坑内で掘削された鉱石などをかき集めて鉱車に積み込む機械。鋼製のかき寄せ箱をウィンチ駆動のワイヤロープで移動させる。(3)掻器(そうき),削器(さっき)ともいう。旧石器時代から新石器時代にかけて作られた打製石器の一つで,剥片(はくへん)に刃部を作り出したもの。削ったり,切ったりするのに用いられた。(4)機械ややすりで仕上げをした金属の表面に,さらに精密な仕上げを施すための工具。きさげともいう。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

食器・調理器具がわかる辞典 「スクレーパー」の解説

スクレーパー【scraper】

パンなどを作るときに用いる、手の平よりも一回り大きいくらいの板状のかたいへら。直線部分と曲線部分があり、生地やバターを切る、広がった材料を集める、混ぜる、移すなど汎用的に用いる。主として生地の分割に用いるスケッパーをいうこともある。

出典 講談社食器・調理器具がわかる辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スクレーパー」の意味・わかりやすい解説

スクレーパー
scraper

掻器,削器のこと。中期旧石器時代以降,最も普遍的にみられる石器。石刃や剥片の一端または側縁を加工してつくるが,石核を用いたものもある。エンド・スクレーパー,サイド・スクレーパー,ラウンド・スクレーパーなどの種類がある。皮をなめしたり,物を削ったりするために用いたと考えられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のスクレーパーの言及

【石器】より

…彫器(グレーバー)は木,骨角などの加工,彫刻,線刻彫などに使われる道具で,神山型,荒屋型グレーバーがある。一般に切る,削る,裂くのはスクレーパー(削器)の役割である。刃が長辺にくるサイド・スクレーパー類には不定形な剝片も使われる。…

【きさげ】より

…スクレーパーscraperともいう。滑り面やはめ合い面の仕上げに用いられる手工具。…

【きさげ】より

…スクレーパーscraperともいう。滑り面やはめ合い面の仕上げに用いられる手工具。…

【建設機械】より

…履帯式が多いが車輪式もある。 スクレーパーscraper土砂の掘削,積込み,運搬,捨土や敷きならしの作業を連続して行う機械。車体の下部の刃で表面の土砂を削って容器(ボウルという)に積み込み,目的地まで運んで捨てる。…

【建設機械】より

… 土木工事の本格的な機械化が始まったのは19世紀に入ってからで,その中心となったのは広大な未開拓の国土をもつアメリカであった。まず人力による土運車,車輪付きスクレーパー,木製の簡単なグレーダー,あるいは数頭の馬で牽引するグレーダーやブルドーザーが出現した。動力源は人力や畜力であったが,機械的な作業機構をとり入れることにより,当時の道路や鉄道工事において作業効率の向上に貢献した。…

【土地改良機械】より

…大きな石や木の根などの圃場障害物を除去するにはレーキドーザーがよく使われる。 均平機は圃場の表面をならして,播種(はしゆ)作業などが円滑に行われ,灌漑水が均等に行き渡るようにするためのもので,排水板をつけたブルドーザーがよく用いられるが,大規模の均平作業には,スクレーパーやスクレープドーザーやランドプレーンが用いられることもある。スクレーパーやスクレープドーザーは掘削し,余った土を運び去るもので,一般には造成に用いられる。…

※「スクレーパー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android