中国周代の道学者関尹子(かんいんし)の著書とされる『関尹子』「三極」のなかに記されるたとえ。ヘビ(蛇)はナメクジ(蛞蝓)を恐れ、ナメクジはカエル(蛙)を恐れ、カエルはヘビを恐れるとする故事から、転じて、三者互いに牽制(けんせい)し合って、身動きのできない状態をいう。「みつどもえ」(三つ巴)ともいう。この三竦を用いたものに、2人相対座して行う遊戯、拳(けん)がある。親指をカエルに、人差指をヘビに、小指をナメクジに見立てて行う虫拳、また、キツネ(狐)は鉄砲に負け、鉄砲は庄屋(しょうや)に負け、庄屋はキツネに負けるとする藤八拳(とうはちけん)(狐拳(きつねけん))、そして現在も遊ばれるじゃんけんの石、はさみ、紙もこの三竦を原形とする。江戸時代の合巻(ごうかん)とよばれる挿絵小説『児雷也豪傑譚(じらいやごうけつものがたり)』(初編1839。美図垣笑顔(みずがきえがお)ら作)は、このヘビ、カエル、ナメクジの三竦を趣向にとった作として有名である。
[棚橋正博]
1969年から続く英国の文学賞「ブッカー賞」の翻訳書部門で、他言語から英語に翻訳された優れた作品に贈られる。翻訳者の仕事を重視し、賞金5万ポンド(約970万円)は作家と翻訳者で折半される。2005年...