中国周代の道学者関尹子(かんいんし)の著書とされる『関尹子』「三極」のなかに記されるたとえ。ヘビ(蛇)はナメクジ(蛞蝓)を恐れ、ナメクジはカエル(蛙)を恐れ、カエルはヘビを恐れるとする故事から、転じて、三者互いに牽制(けんせい)し合って、身動きのできない状態をいう。「みつどもえ」(三つ巴)ともいう。この三竦を用いたものに、2人相対座して行う遊戯、拳(けん)がある。親指をカエルに、人差指をヘビに、小指をナメクジに見立てて行う虫拳、また、キツネ(狐)は鉄砲に負け、鉄砲は庄屋(しょうや)に負け、庄屋はキツネに負けるとする藤八拳(とうはちけん)(狐拳(きつねけん))、そして現在も遊ばれるじゃんけんの石、はさみ、紙もこの三竦を原形とする。江戸時代の合巻(ごうかん)とよばれる挿絵小説『児雷也豪傑譚(じらいやごうけつものがたり)』(初編1839。美図垣笑顔(みずがきえがお)ら作)は、このヘビ、カエル、ナメクジの三竦を趣向にとった作として有名である。
[棚橋正博]
貨幣 (名目) 賃金額を消費者物価指数でデフレートしたもので,基準時に比較した賃金の購買力を計測するために用いられる。こうしたとらえ方は,名目賃金の上昇が物価の上昇によって実質的には減価させられている...