三遅(読み)サンチ

デジタル大辞泉 「三遅」の意味・読み・例文・類語

さん‐ち【三遅】

昔、酒宴に遅れた者に科した罰杯。三段階に分かれ、杯が5回まわった後なら3杯、7回なら5杯、10回以上なら7杯の酒を飲ませるというもの。
酒または酒宴。
「―に先だちてその花を吹けば」〈本朝文粋・一一〉

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精選版 日本国語大辞典 「三遅」の意味・読み・例文・類語

さん‐ち【三遅】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 行事に遅参した者に課した罰酒の一つ。杯が五回回ったのちに参会した者には三杯、七回り以後の者には五杯、十回り以後の者には七杯の酒を課した。三種類の飲酒による遊興の処分。
    1. [初出の実例]「春物春情更問誰、紅桜一樹酒三遅」(出典:菅家文草(900頃)五・春、惜桜花)
  3. ( から転じて ) 酒宴、または、酒。
    1. [初出の実例]「三遅に先だってその花を吹けば 暁の星の河漢に転ずるがごとし〈紀長谷雄〉」(出典:和漢朗詠集(1018頃)上)
  4. ( 「三地」と書くこともある ) 競馬(くらべうま)の発走のときの作法の一段階。一遅は間隔を広くとり、二遅はちょうどよい程度にし、三遅は鐙(あぶみ)をならすこと。また、三度ゆっくり馬をすすめること、あるいは、鼓の合図で進み、鉦の合図で退き、馬をゆっくりと歩ませることともいう。〔江家次第(1111頃)〕

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