三鈷(読み)サンコ

デジタル大辞泉 「三鈷」の意味・読み・例文・類語

さん‐こ【三×鈷】

金剛杵こんごうしょの一。金属製できねの形をし、両端三つに分かれているもの。三鈷杵さんこしょ

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精選版 日本国語大辞典 「三鈷」の意味・読み・例文・類語

さん‐こ【三鈷】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「さんご」とも ) 仏語密教修法(ずほう)に用いる仏具一つ金剛杵(こんごうしょ)一種で、三鈷杵のこと。両端が三つまたに分かれ、尖った爪のあるもの。また同じ仏具で、鈴に三鈷のついたものを三鈷鈴という。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. 三鈷〈和歌山県金剛峯寺〉
      三鈷〈和歌山県金剛峯寺〉
    2. [初出の実例]「三鈷を以て日本の方に向て擲(なぐ)るに、三鈷、遙に飛て、雲の中に入ぬ」(出典今昔物語集(1120頃か)一一)

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世界大百科事典(旧版)内の三鈷の言及

【金剛杵】より

…バジュラは,把手の両端に鋭い刃のついた杵形の武器で,雷をかたどったものといわれ,本来は雷霆(らいてい)神インドラの所持物であったが,のち仏教では,この武器を持った神(執金剛神)がいつも影のように仏につき従い,仏を守護していたと考えられた。密教の法具としての金剛杵は,この武器が堅固であらゆるものを摧破(さいは)するところから,煩悩を破る悟りの智慧の象徴として採り入れられたもので,両端の刃先の形によって,1本だけ鋭くとがった刃先の独鈷(独股)(とつこ),その刃先に両側から勾(かぎ)形に湾曲した刃を2本備えた三鈷(三股),四方から4本備えた五鈷(五股)などがある。これらはいずれも武器のおもかげをとどめているが,ほかに,武器でない宝珠や塔をあしらった宝珠鈷や塔鈷といわれるものもある。…

※「三鈷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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