上掛り(読み)カミガカリ

デジタル大辞泉 「上掛り」の意味・読み・例文・類語

かみ‐がかり【上掛(か)り】

能のシテ方五流うち観世かんぜ流・宝生ほうしょう流をいう。発生当時、下掛しもがかりの奈良に対して京都本拠を置いたからというが、定説がない。京掛かり。→下掛しもがかり

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精選版 日本国語大辞典 「上掛り」の意味・読み・例文・類語

かみ‐がかり【上掛・上懸】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かみ」は上方の意 ) 能楽で、観世・宝生二流派の称。この二流がもと京都に住んでいたところからその名が起こったといわれる。京掛(きょうがかり)。⇔下掛(しもがかり)
    1. [初出の実例]「高きも賤しきも謡うたはぬ人なし。上かかりをうたふひと有、下懸りを好あり」(出典:慶長見聞集(1614)四)

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百科事典マイペディア 「上掛り」の意味・わかりやすい解説

上掛り【かみがかり】

能楽用語。上懸りとも書く。観世流宝生流をさす。下(しも)掛りの対。

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世界大百科事典(旧版)内の上掛りの言及

【能】より

…現在では流派の組合せにはまったく制約がない。シテ方5流のうち,観世,宝生2流は芸系が近く,能本の詞章や謡の曲節に共通点が多いので,〈上掛り(かみがかり)〉と総称され,同様に金春,金剛,喜多3流は〈下掛り(しもがかり)〉と総称される。ワキ方では進藤(廃絶)・福王2流が上掛り,春藤(廃絶)・宝生・高安(たかやす)(高安流)の3流が下掛りに属するので,ワキ方宝生流をとくに下掛り宝生流と称することがある。…

【宝生流】より

…?‐1572か85)は観世宗節の実弟で宝生家を継ぎ,小宝生といわれた名手。なお,重勝の子元盛が観世宗節の養嗣子となって観世大夫を継ぐなど,観世とは室町時代から縁戚関係にあり芸系も近く,両家の芸統や芸風を上掛り(かみがかり)と呼ぶ。6世勝吉(1558‐1630)は金剛から養子に入っている。…

※「上掛り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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