上泉郷(読み)かみついずみごう

日本歴史地名大系 「上泉郷」の解説

上泉郷
かみついずみごう

和名抄」は高山寺本・東急本ともに、表記は異なるが「かみついずみ」(加无津以豆美・加美都以都美)と訓じており、中世以降には上条かみじよう郷と称した。「和泉志」は南王子みなみおうじ池上いけがみ伯太はかた府中ふちゆう肥子ひこ黒鳥くろどり(現和泉市)千原ちはらもり二田ふつた助松すけまつ北曾根きたそね・南曾根・豊中とよなか(現泉大津市)の一三村を郷域とするが、「泉州志」や「大阪府全志」は豊中下泉しもついずみ郷とする。いずれとも断じがたいが、いちおう後者によっておくことにする。なお肥子は軽部かるべ郷、黒鳥坂本さかもと郷であったかもしれない。いずれにせよ当郷は国府の所在地であり、和泉地方の中心地域である。

当郷内の著名な遺跡に、和泉地方最大の弥生時代の集落である池上曾根遺跡(現和泉市・泉大津市)がある。同遺跡は弥生中期を主体とするが、長大な楕円形の環濠の内部に多数の竪穴住居が営まれ、住居地域外に方形周溝墓も営まれており、また各種の石器土器・木器などが多数発掘されて当時の生活と社会についての貴重な事実が明らかにされた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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