朝日日本歴史人物事典 「下村正太郎」の解説
下村正太郎(7代)
生年:享和3(1803)
江戸後期の商人。号は正篤。下村家一族の柳馬場家の子として京都に生まれ,文化9(1812)年,6代正立の跡を継ぎ下村家の当主となる。下村家は屋号大丸屋,大文字屋の呉服商で,当主は業祖の正啓以来彦右衛門を襲名するが,4代彦右衛門による「大丸騒動」後,正太郎を名乗るようになった。7代正篤は,それまでの京都本店,江戸店を中心とした呉服,小間物商売に加え,大坂両替店を創設。京都でも両替業を店舗として独立させ,両替業を本格化した。また兵庫に外商だけを扱う店を設け,江戸でも糸扇店を創始し,生糸の取り扱いを始めている。化政期の下村家の商業活動の拡大,発展は正篤の才覚の下に実現したといえる。幕末維新期には営業活動が停滞的となるが,10代正太郎(正堂)は維新政府の下で商法司元締,東京為替会社の総頭取などを務めた。11代正太郎(正剛)のときに合資会社,さらには株式会社に改組,戦後に至っている。<参考文献>『大丸三百五拾年史』
(谷本雅之)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報