不二絹(読み)ふじぎぬ

改訂新版 世界大百科事典 「不二絹」の意味・わかりやすい解説

不二絹 (ふじぎぬ)

絹紡糸織物。明治末期に富士瓦斯紡績(株)の創製した富士絹最初。経糸に絹紡双糸,緯糸に絹紡単糸を使った平織の広幅織物。製織後,毛羽を焼きとり,軽い精練仕上げをする。羽二重に比べて光沢がなく弾力に欠けるが肉厚でじょうぶである。無地染捺染をして洋服地,裏地夜具ふろしき等に用いられる。戦前はアメリカ,オーストラリア,インド等に羽二重の代用品として輸出していた。福井,石川,群馬県で多く織られる。
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百科事典マイペディア 「不二絹」の意味・わかりやすい解説

不二絹【ふじぎぬ】

絹織物一種。経(たて)緯(よこ)とも毛羽をガスの炎で焼いた紡績絹糸を用いて平織にし,精練または精練・漂白する。羽二重に似て光沢があり,やや地が厚く,じょうぶで,無地染またはプリント染としてシャツ,婦人子ども服,和服裾(すそ)回し,襦袢(じゅばん)などにする。1906年ころ富士瓦斯紡績会社(現,富士紡績)で創製。

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