富士絹(読み)フジギヌ

デジタル大辞泉 「富士絹」の意味・読み・例文・類語

ふじ‐ぎぬ【富士絹/不二絹】

絹紡糸を用いた平織りの絹織物広幅で無地染めや捺染なっせんをして、裾回し・長襦袢ながジユバン地・洋服地などに用いる。明治末期、富士瓦斯ガス紡績会社が創製したところからの名称

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「富士絹」の意味・わかりやすい解説

富士絹
ふじぎぬ

不二絹とも書く。経緯に絹紡糸を使った平織の絹織物。自然色で,ふくよかな感じは羽二重 (はぶたえ) に似ているが,密度がやや粗く,光沢が劣る。 1902年頃富士紡績会社が生糸の製糸屑を原料に創製したもので,第2次世界大戦前は盛んに輸出され,世界的に知られた。普通物の平富士絹,縦縞のある縞富士絹,模様を織り出した紋富士絹などがあり,化繊を交織したものもある。白地ワイシャツなど,無地染物は裏地きものの裾回しなど,友禅染物は和服地,帯地,婦人子供服地,ふろしきなどに用途も広い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「富士絹」の意味・わかりやすい解説

富士絹
ふじぎぬ

絹織物の一種で、もと富士瓦斯(ガス)紡績が考案したことからつけられたが、現在では一般化された名称になっている。生地(きじ)は、経緯(たてよこ)糸に紡績絹糸出殻繭(でがらまゆ)、屑(くず)糸などを処理し、紡績したもの)を使い、一般に平織に織り上げたのち、ガス焼き、精練、柔軟仕上げを施し、羽二重(はぶたえ)のような風合いにしたものである。ワイシャツ地、婦人服地などに使われていたが、現在では消費量は少ない。

[角山幸洋]

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