抵当債券の発行により不動産所有者に抵当貸付をする長期信用銀行のこと。歴史上代表的なものには、ドイツのバイエルン抵当・振替銀行(1835創立)、第一プロイセン抵当株式会社(1863創立)、フランスの不動産銀行(1861創立)、わが国の日本勧業銀行(1897創立)などがある。日本勧業銀行は、日本銀行を補完して農業振興のための金融を行うことを意図した特殊銀行の一つであったが、しだいに市街地抵当貸付が増大して不動産銀行化した。第二次世界大戦後は、1957年(昭和32)長期信用銀行法により利付・割引金融債をおもな資金源として中小企業向け不動産抵当貸付を行うことを目的とする日本不動産銀行(後の日本債券信用銀行。現、あおぞら銀行)が設立された。戦後の長短金融の分離制度は、金融自由化に伴い事実上変化してきており、普通銀行がスワップ市場で自行の変動金利債務を長期信用銀行の金融債の長期固定金利債務と交換することによって、住宅ローンや不動産融資に取り組んでいる。
[土方 保]
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