普通銀行(読み)フツウギンコウ

デジタル大辞泉 「普通銀行」の意味・読み・例文・類語

ふつう‐ぎんこう〔‐ギンカウ〕【普通銀行】

銀行法に基づいて設立された銀行。主な業務預金の受け入れ、資金の貸し付け、手形割引為替取引など。一般に、都市銀行地方銀行に区別される。

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精選版 日本国語大辞典 「普通銀行」の意味・読み・例文・類語

ふつう‐ぎんこう‥ギンカウ【普通銀行】

  1. 〘 名詞 〙 一般から集めた預金を主な資金源とし、主として短期金融を営む銀行。銀行法に基づいて設立されたもので、都市銀行と地方銀行とに大別される。商業銀行預金銀行

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「普通銀行」の意味・わかりやすい解説

普通銀行
ふつうぎんこう

普通銀行とは、商業銀行(商業手形の割引を専門とする)とか預金銀行(資金源が預金である)とよばれ、主として預金を原資として貸出をする金融機関をいう。法的には、銀行法によって設立されている銀行であり、日本銀行日銀)、政府系金融機関、信託銀行等は含まれない。

 日本では、第二次世界大戦前から特別な根拠法による銀行と区別する意味で「普通」という用語が用いられた。戦後は、特殊銀行が廃止されたため、普通銀行はその根拠法が「銀行法」である銀行をいうのが慣例である。かつては、根拠法が異なる外国為替(かわせ)専門銀行も普通銀行に含まれていたが、外国為替及び外国貿易管理法(外為(がいため)法)が1998年(平成10)4月に改正され「外国為替及び外国貿易法」(改正外為法)となり、外国為替業務が自由化されたことによって外国為替専門銀行は存在しなくなった。また、根拠法が異なる在日外国銀行も普通銀行に含まれる。このことは、普通銀行という用語が銀行の業態を示すもので、日本では貸出が短期金融に限定されず、設備資金の融資なども実行する金融機関のデパートのようでもあることから納得できる。普通銀行は、その本店の所在や、貸出先が大企業か中小企業か、また資金の流れが全国的なのか地域に限定されているかによって、都市銀行、地方銀行、または第二地方銀行(以前の相互銀行)に分類整理されている。

 日本の第二次世界大戦後の金融システムは、イギリスやアメリカのような市場型システムMarket-oriented Systemではなく、間接金融ルートを中心とする銀行型システムBank-oriented Systemに位置づけられる場合が多い。とはいえ、1990年代に入り、株式相場や不動産等の価格が大幅に下落し、バブル経済が崩壊するとともに、銀行の不良債権問題が表面化するなか、1998年からの日本版金融ビッグバン(金融システム改革)により、証券市場においては「手数料の自由化」「取引所集中義務の廃止」「証券業の免許制から登録制への切替え」などといった改革が行われた。また、2000年代に入り、小泉純一郎政権により、「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、直接金融ルートの活性化が図られた。

 このような改革により、日本の金融ルートは、以前に比べれば多様化するようになった。しかし、金融構造という意味では、基本的な構造に変化はなく、間接金融優位の状態が続いている。預金については、2016年(平成28)の日銀によるマイナス金利導入後も預金の流出はおきておらず、日本の預金者の安全資産志向の根強さを示している。この背景としては、1990年代後半と2000年代前半の国内金融危機、1997年のアジア通貨危機、2008年以降の世界金融危機、2020年(令和2)のコロナウイルス危機という一連の経済危機の経験から、リスクテイク(危険を冒すこと)に慎重になったことが一因と考えられる。貸出については、とくに企業数としては大半を占める中小企業やベンチャー企業向けのリスクマネーの供給が増加しておらず、銀行からの借入に依存する構造に大きな変化がおきていないことが指摘できる。

[石野 典・前田拓生・平田英明 2020年10月16日]

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百科事典マイペディア 「普通銀行」の意味・わかりやすい解説

普通銀行【ふつうぎんこう】

普銀と略す。銀行法に基づく銀行。したがって信託銀行,外国為替専門銀行も含まれる。通例は信託銀行を除外して使われ,この場合は商業銀行と同義。商業銀行は都市銀行地方銀行とに分かれる。さらに狭義には外国為替専門銀行を除外する。
→関連項目国立銀行市中銀行新生銀行[株]相互銀行貯蓄銀行

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「普通銀行」の意味・わかりやすい解説

普通銀行
ふつうぎんこう

銀行法によって設立された銀行のことで,日本独特の名称。特別の法律 (外国為替銀行法,長期信用銀行法,相互銀行法など) によって設立された銀行や,信託銀行以外の銀行。実際には商業銀行とほぼ同義であって,預金をおもな資金源として短期商業銀行貸出しを主として行うものであるが,日本では第2次世界大戦前から長期金融業務も兼営している。普通銀行には大都市に本店をもち,全国にわたって支店網をもつ都市銀行と,地方都市に本店をもち,支店網が地域的に比較的限定されている地方銀行とがある。

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世界大百科事典(旧版)内の普通銀行の言及

【銀行】より

… 日本では,金融機関として次のような組織が制度として確立している。普通銀行,信託銀行,長期信用銀行,相互銀行(1989年以降,第二地方銀行に転換),信用金庫,信用組合,労働金庫,農林中央金庫,農業協同組合,漁業協同組合,生命保険会社,損害保険会社等の民間金融機関と,郵便貯金,日本輸出入銀行(輸銀),日本開発銀行(開銀)等の公的金融機関,それに中央銀行である日本銀行である。民間金融機関のうち,当座預金等の通貨を供給している金融機関は,上記の順序に従えば普通銀行から漁業協同組合までであり,これらが,一部には銀行という名称がつけられていないとはいえ,機能上は銀行ということができる。…

【金融機関】より

…まず金融機関の中核に中央銀行である日本銀行がある。民間金融機関は普通銀行をはじめとして,長期信用銀行,信託銀行,信用金庫,信用(協同)組合,さらに農林中央金庫を頂点とする系統金融機関(〈農業金融〉の項参照)などがあり,このほか保険会社,短資会社証券金融会社,証券会社などがある。一方,これら民間金融機関を補完するため,いくつかの政府金融機関がある。…

【普通銀行・特殊銀行】より

…普通銀行とは国立銀行の存在していた時代には私立銀行をいい,国立銀行が普通銀行に転換した後は特殊銀行に対して一般の銀行を普通銀行と称した。〈普通銀行〉は慣用語で,一般的な用語となったのは第1次大戦後で,1916年4月大蔵省の組織が改正され,銀行局が独立し,その際,特別銀行課,貯蓄銀行課とともに普通銀行課が設置されたからである。…

※「普通銀行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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