六訂版 家庭医学大全科 「不正性器出血」の解説
不正性器出血
ふせいせいきしゅっけつ
Atypical genital bleeding
(女性の病気と妊娠・出産)
どんな病気か
女性性器からの出血のうち、生理的でないものをすべて不正性器出血と呼びます(表7)。生理的な出血とは月経と出産時の出血およびその後の悪露ですので、非妊娠時に起こる月経以外の出血は不正性器出血とみなしてよいことになります。
原因は何か
表7に出血原因を、出血の時期および部位から分類して示します。このように、非常に多くの状態が不正性器出血の原因となりえます。
症状の現れ方
原因によって症状の現れ方はさまざまです。また原因によっては、ほかの症状を伴うことを特徴とすることもあります。
腫瘍性病変の場合は、性交中や性交後に出血が起こることが特徴ですが、子宮体部の腫瘍の場合は、性交と関係はあまりありません。感染や炎症を原因とする場合は、発熱や痛みを、また
機能性出血は、形態上の明らかな病気がなくて起こる出血です。排卵期に起こる排卵期出血(中間期出血)、
検査と診断
出血部位を確認するための視診がまず重要です。外傷の有無も、視診で診断できます。また、妊娠中であるかどうかも最初に確認します。本人が妊娠に気づいていないこともあり、尿検査が必要になることもあります。何か薬剤をのんでいないか、持病がないかという情報も出血の原因を探るのに重要です。
性器からの出血であることが確認でき、妊娠中でない時は、最も重要な病気である腫瘍のスクリーニング(ふるい分け)検査が必要です。子宮
このほかには、疑わしい原因に応じた検査を行います。感染・炎症が疑わしい時は、細菌培養やクラミジアの検査を行います。
治療の方法
それぞれの病気に応じた治療が必要です。機能性出血であることが明白となれば、多くの場合、治療は必要ありません。
病気に気づいたらどうする
婦人科への受診が必要です。その際、出血が起こったきっかけがないか、同時に起こる症状はないか、月経との関係はどうかなどをまとめておき、基礎体温を測った記録があれば持参します。
関連項目
子宮付属器炎、子宮の病気の各項目、外陰がん~外陰炎までの各項目、老人性腟炎、腟壁裂傷、処女膜裂傷、機能性出血、卵巣機能低下症、流産、切迫流産、胞状奇胎、子宮外妊娠、前置胎盤、常位胎盤早期剥離
久具 宏司
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報