改訂新版 世界大百科事典 「世界科学労働者連盟」の意味・わかりやすい解説
世界科学労働者連盟 (せかいかがくろうどうしゃれんめい)
World Federation of Scientific Workers
略称WFSW。世界科学者連盟とも呼ばれる。1947年,イギリス科学者協会British Association of Scientific Workersの呼びかけで結成された国際的な科学者団体。結成にあたっては,イギリスやフランスの進歩的科学者が中心的な役割を果たした。初代会長はフランスの物理学者J.F.ジョリオ・キュリーが務めた。WFSWは48年に〈科学者憲章〉を採択し,科学者の使命や責任を高く掲げ,同時に科学および科学者の重視と地位向上を訴えた。WFSWには西側諸国の進歩的な科学者団体とソ連をはじめ多くの東側諸国の科学者団体が加盟した。日本からは,かつては民主主義科学者協会(民科)が加盟していたが,現在はその後身にあたる日本科学者会議が加盟している。95年現在,37ヵ国の団体が加盟し,会員は約50万人を数える。WFSWは本部をロンドンにおき,軍縮・平和問題,科学の国際協力,科学政策,科学者の権利と地位の向上などについて積極的な活動を行っている。またWFSWはユネスコの諮問機関として,1974年18回ユネスコ総会で採択された〈科学研究者の地位に関する勧告〉の作成に重要な役割を果たした。機関紙として《サイエンティフィック・ワールド》を発行。
執筆者:成定 薫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報