デジタル大辞泉
「世阿弥十六部集」の意味・読み・例文・類語
ぜあみじゅうろくぶしゅう〔ゼアミジフロクブシフ〕【世阿弥十六部集】
能楽書。吉田東伍校注。明治42年(1909)刊。世阿弥の伝書16部を翻刻・校訂したもの。能楽研究の基本的資料。「風姿花伝(花伝書)」「花伝書別紙口伝」「至花道」「二曲三体人形図」「三道(能作書)」「花鏡」「曲付次第」「風曲集」「五音曲条々」「遊楽習道風見」「九位」「習道書」「申楽談儀(世子六十以後申楽談儀)」「夢跡一紙」「却来華」「金島書」。のち、世阿弥の伝書は、「花習内抜書(能序破急事)」「音曲声出口伝」「五位」「六義」「五音」「拾玉得花」が発見された。
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世阿弥十六部集
ぜあみじゅうろくぶしゅう
世阿弥の能楽論集。 1908年安田善之助が入手した堀家旧蔵本を,翌年2月吉田東伍の校訂により,能楽会から『能楽古典・世阿弥十六部集』として出版,初めて世に紹介された。内容は,「風姿花伝 (花伝書,第五まで) 」「花伝書別紙口伝 (第七) 」「五音曲条々」「覚習条々 (若鏡残欠) 」「九位次第」「遊学習道見風書」「至花道書」「二曲三体絵図」「能作書 (三道) 」「曲付書」「風曲集」「習道書」「世子六十以後申楽談儀」「夢跡一紙」「世子七十以後口伝 (却来華) 」「金島集」の 16部,底本は「申楽談儀」のほかはすべて松迺舎文庫 (安田本) であるが,関東大震災で原本は焼失した。それ以後,数部の新資料の発見が加えられた。この書の刊行が動機となって,世阿弥を中心とする能楽の研究が非常に進んだ。
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「世阿弥十六部集」の意味・わかりやすい解説
世阿弥十六部集【ぜあみじゅうろくぶしゅう】
世阿弥の能楽論書。1909年,当時発見されていた著書16種が吉田東伍により公刊されたもので,能楽研究にエポックを画した。その後に発見されたものを加え,現在伝書と認められるものは21部で,《風姿花伝》《花鏡》《至花道》《拾玉得花》《却来華》や,脚本論である《三道(通称,能作書)》,芸談の《申楽談儀》などがある。
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世界大百科事典(旧版)内の世阿弥十六部集の言及
【吉田東伍】より
… 歴史地理学のほか日本音楽史にも精通し,とくに能楽の造詣が深く,1908年《世子六十以後申楽談儀(ぜしろくじゆういごさるがくだんぎ)》(《[申楽談儀]》)を校訂,これが世阿弥伝書の発見につながる契機となった。09年,吉田が《花伝書》と命名した《風姿花伝》をはじめ,当時発見された世阿弥の著書16部を収めた《世阿弥十六部集》を校注,〈吉田本〉と呼ばれる。これは従来の観阿弥・世阿弥像を一新させ,近代能楽研究の出発点となった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」