改訂新版 世界大百科事典 「中小企業投資育成会社」の意味・わかりやすい解説
中小企業投資育成会社 (ちゅうしょうきぎょうとうしいくせいかいしゃ)
中小企業の自己資本の充実を促進し,その健全な成長を図ることを目的として,〈中小企業投資育成株式会社法〉(1963公布)に基づき設立される特殊法人の総称。1963年11月,東京中小企業投資育成(株)(1984年7月現在,資本金66億7340万円),大阪中小企業投資育成(株)(同67億9900万円),名古屋中小企業投資育成(株)(同43億0080万円)の3社が設立された。これまで,資本金の約1割相当額について中小企業金融公庫の出資を受けていたが,84年7月に3社とも全額消却したため,実質的に民営に移行したといえよう。投資・育成の対象先は,資本金1億円以下の株式会社で,産業構造の高度化や国際競争力の強化に資する業種の中小企業である。この業種については,施行令で食料品製造業,印刷業などから情報処理サービス業およびソフトウェア業を含む28業種が指定された。業務内容は,新株・転換社債の引受け等の投資業務,経営・技術の指導等である。通産大臣が監督し,新株発行,優先株式消却計画,事業計画等について同大臣の認可を要する。いわゆるベンチャー・ビジネスの育成等に重要な役割を果たしたが,86年7月,3社とも民営化された。
執筆者:石沢 卓志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報