1953年(昭和28)制定の中小企業金融公庫法(昭和28年法律第138号)に基づいて設立され、その後、中小企業総合事業団(現中小企業基盤整備機構)から承継した証券化支援業務、信用保険制度に関する業務も行っていた全額政府出資の政府金融機関。しかし、2005年(平成17)に出された「政策金融改革の基本方針」において「一般貸付は量的補完であり、国全体として資金不足であった高度成長期とは異なり、資金余剰になっているので、中小企業といえども、量的補完は国が行う必要はなくなっており、撤退する」「特別貸付は、国の中小企業政策の中に明確に位置づけられ、政策誘導を目的とする範囲に限定して行うものの、定期的に見直しを行い、必要性の低下した特別貸付からは、撤退する」という方針が決まった。この方針に基づき、2006年の「政策金融改革に係る制度設計」に沿って、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、国際協力銀行(国際金融部門)とともに、2008年10月日本政策金融公庫(日本公庫)に統合され、当該公庫に事業承継されている。統合されたとはいえ、民間金融だけではファイナンシャル・ギャップを生じやすい分野への専門的金融の必要性は変わらないことから、中小企業金融公庫の事業そのものは日本公庫の「中小企業事業」として引き継がれている。
[前田拓生]
中小企業者に対し,一般金融機関が貸し付けることが困難な長期資金(設備資金,長期運転資金)の融通を目的として,〈中小企業金融公庫法〉(1953公布)に基づき,1953年8月に設立された政府金融機関。政府関係中小企業3金融機関の一つで,規模的にはその中間に位置する。他の2機関,すなわち商工組合中央金庫はより組合金融的,国民金融公庫はより庶民金融的色彩が強い。業務全般につき主務大臣(大蔵大臣および通商産業大臣)が監督・指導する。貸付財源は,政府出資による資本金,政府からの借入金,政府引受けおよび政府保証に係る中小企業債券(政府保証債で資本金の30倍まで発行できる)による。直接貸付けのほか,銀行,相互銀行,信用金庫等を通じ代理貸付けも行っている。貸付対象先は,資本金1億円(小売業・サービス業は1000万円,卸売業は3000万円)以下,または従業員数300人(鉱業は1000人,小売業・サービス業は50人,卸売業は100人)以下の中小企業者である。一般貸付けのほかに,より長期・低利の,公害防止貸付け,新技術貸付け等国の中小企業施策に沿った特別貸付制度がある。融資対象は製造業が多く,次いで小売業・卸売業,建設業などが続く。資本金1兆5688億円,貸付残高7兆5940億円(2004年3月)。2008年10月日本政策金融公庫に統合された。
執筆者:石沢 卓志
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[経営の安定政策]
金融の支援,自己資本の充実,倒産防止対策の3施策からなる。(1)中小企業に対する金融支援施策(〈中小企業金融〉の項参照)は,金融制度とその補完からなるが,金融制度のおもなものとして,全額政府出資の金融機関である中小企業金融公庫(1953年公布の中小企業金融公庫法)と国民金融公庫(1949年公布の国民金融公庫法),半官半民の出資による商工組合中央金庫(1936設置)の3機関があり,中小企業に対する設備資金,長期運転資金,運転資金の特別の融資を行っている。その他,環境衛生関係営業者を対象にして設備資金の融資をする環境衛生金融公庫(1967年公布の環境衛生金融公庫法)がある。…
※「中小企業金融公庫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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