20世紀日本人名事典 「中根忠吉」の解説
中根 忠吉
ナカネ チュウキチ
- 生年
- 元治1年11月14日(1864年)
- 没年
- 昭和5(1930)年2月3日
- 出生地
- 江戸・浅草(現・東京都台東区)
- 経歴
- 父である江戸浅草安倍川町の釣り竿職人釣音について修業。のち郡山藩お抱えの鞘職人山野徳兵衛に弟子入りして刀鞘漆工法を学び、「松皮塗り」「錆竹塗り」などの技法を釣り竿に導入、明治33年にはパリ万国博覧会に和竿を出展し評判となった。また竿の材料探索にも余念がなく、自ら竹林を跋渉して翁竹や雀竹などの新素材を発見した。3代松本三郎兵衛・釣治こと石川治三郎と並んで明治三名人の一人に数えられ、その作品は多くの釣り人に珍重・愛用された。恩義に厚い人柄で知られ、長谷川伸の戯曲「名人竿忠」をはじめ、講談や戯曲のモデルにもなっている。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報