中津森村(読み)なかつもりむら

日本歴史地名大系 「中津森村」の解説

中津森村
なかつもりむら

[現在地名]都留市中津森

桂川の支流、東流する大幡おおはた川北岸の山間の平坦地にあり、東は金井かない村。「甲斐国志」によると、村内中央に大木があり朝には西の大幡村まで日陰がさし、夕べには谷村やむら北原まで陰をうつしたことによって「中ツ森」としたといわれ、「西ハ北山足ニ村落開ケ、東南ハ平田多ク、土壌肥エタリ」とある。戦国時代には、付近の金井下谷しもや内の羽根子はねこをも含んでいたとみられる。永正一八年(一五二一)二月一八日に舟津ふなつ(現河口湖町)の小林宮内丞の屋敷に宿泊した武田信虎が、翌日中津森に立寄っている(勝山記)。これは小山田氏の館が当地にあったことによるが、中津森館跡は現在の金井にある。享禄二年(一五二九)六月二〇日に遠江国にいる姉を訪ねて当地を出立した小山田信有の妻は、帰りは大原おおはら(現河口湖町)の小林和泉・同尾張入道、倉見くらみ(現西桂町)の新九郎の屋敷などに止宿しながら一〇月一八日帰着しているが、その際に茜紬の着物と金で飾った太刀を一様に身に付けた近習衆一〇〇人が富士川まで出迎えるなど(勝山記)、一種の示威行為でもあった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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