改訂新版 世界大百科事典 「中間値の定理」の意味・わかりやすい解説
中間値の定理 (ちゅうかんちのていり)
intermediate-value theorem
閉区間[a,b]で連続な実数値関数f(x)があって,f(a)≠f(b)ならば,f(a)とf(b)との間の任意の実数αに対して,f(c)=αとなるcがaとbの間に存在する。この事実を中間値の定理という。このことは次のようにしてわかる。例えばf(a)<f(b)とすると,xy平面上の点A(a,f(a))は直線y=αより下にあり,点B(b,f(b))は直線y=αより上にあって,関数y=f(x)のグラフはAからBに至る連続曲線であるから,そのグラフはa<x<bの範囲で直線y=αと少なくとも1回交わる。その一つの交点のx座標をcとすればf(c)=αとなる。
中間値の定理は多変数の場合も成り立つ。平面,空間,一般にn次元空間の中の連結集合Eで連続な実数値関数f(P)があって,Eの2点P1,P2に対してf(1)≠f(P2)ならば,f(P1)とf(P2)との間の任意の実数αに対して,f(P3)=αとなる点P3∈Eが少なくとも一つ存在する。
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報