国指定史跡ガイド 「丹後平古墳群」の解説
たんごたいこふんぐん【丹後平古墳群】
青森県八戸市根城にある7~8世紀の古墳群。馬淵(まべち)川の南岸の丘陵中に立地する。地域振興整備公団による「八戸新都市開発(八戸ニュータウン)」区域内で発見され、1987年(昭和62)からの発掘調査の結果、事業計画を変更して保存が決まった。一部の例外を除いて6世紀まで古墳が波及することがなかった東北北部においても、8~9世紀を中心として群集墳が築かれていった。それは、東北北部を律令支配下におこうとする古代国家の活動に呼応して、在地の勢力が東北以南の墓制を採用するにいたったものと考えられ、日本における異文化間の交流を物語るものである。古墳は総数100基前後と推測され、いずれも直径4~9mほどの円墳。木棺を直葬するものでは、棺を納める土坑の手前に横穴式石室の羨道(せんどう)部に由来すると思われる通路状の張り出しのあるものが多く、注目されている。ほか、棺床に礫を敷くものや木炭を敷くものもある。土師器(はじき)・須恵器(すえき)、勾玉(まがたま)などの玉類や、鉄製・錫製の釧(くしろ)などの装身具、直刀、蕨手刀(わらびでとう)、刀子(とうす)など武器類、紡錘車や砥石などの生産用具、和同開珎、馬具の轡(くつわ)などのほかに、国内に類例のない獅噛式三累環頭大刀柄頭(しがみしきさんるいかんとうたちつかがしら)が出土している。獅噛式三累環頭大刀柄頭は、6世紀前半から中頃の朝鮭半島の製品と考えられている。1999年(平成11)に国指定史跡になった。出土品は現在は八戸市博物館に展示されている。JR東北新幹線ほか八戸駅から車で約10分。