丹波志(読み)たんばし

日本歴史地名大系 「丹波志」の解説

丹波志
たんばし

二〇巻 古川茂正・永戸貞著

成立 寛政六年

分類 地誌

写本 内閣文庫・宮内庁書陵部・京都大学図書館・東京大学図書館・東京大学史料編纂所・尊経閣文庫・福知山市関家など

解説 福知山藩士古川茂正が同藩士北村継元の「太邇波記」をもとに丹波六郡の風土記編纂を志し、篠山藩士永戸貞と協力し古書伝聞の収集にあたったが天田郡氷上郡(古川)多紀郡(永戸)を成稿したのみで没した。茂正の子正路が両者の遺稿を校正して「丹波志」と名付けた。構成は国郡・郡郷・神社・古城・姓氏・旧栖孝子・勝地・産物寺院・古墟陵墓等。なお別に何鹿郡については古川父子の協力者であった堀正綱が茂正の稿に加筆したとみられるものが関家に所蔵される。また桑田・船井両郡は亀山藩士関正周・正直父子と堀正綱の協力によって成ったと思われる「丹波志桑船記」および「丹波志桑田記」がある。成立の時期は化政期であろう。

活字本 「丹波志」昭和四九年刊


丹波志
たんばし

解説 福知山藩士古川正茂と明和年間篠山藩郷奉行であった永戸貞がともに相約して編纂を始めた丹波六郡の地誌。多紀郡は永戸、天田郡・氷上郡は古川が担当、何鹿・桑田・船井の三郡は未完。両名とも志半ばにして死没し、未完の草稿になっていたものを古川正茂の子正路が君命により寛政六年上梓した。各郡ごとに神社・村・古城・姓氏・産物・旧栖・仏閣などの項を立てて整理されている。村については高・今高、領主などが記される。江戸時代における丹波地方史研究の基本文献で、史料的価値は高いが、著者の誤認もあり、利用に際しては考証を要する。なお文化元年野添宗祇による氷上郡分の校訂本が成立。写本は尊経閣文庫(一六冊)・東京大学史料編纂所(二四冊)・国学院大学などが所蔵するが、全巻そろっているところはなく、郷村の部は国立公文書館内閣文庫(一七巻三七冊)だけに所蔵される。古歌の部はいずれにも所蔵されていない。

活字本 昭和三〇年「丹波志」(野添本、氷上郡のみ)、同四九年影印本

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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