乳房の脂肪壊死(読み)にゅうぼうのしぼうえし(その他表記)Fat necrosis of the breast

六訂版 家庭医学大全科 「乳房の脂肪壊死」の解説

乳房の脂肪壊死
にゅうぼうのしぼうえし
Fat necrosis of the breast
(女性の病気と妊娠・出産)

どんな病気か

 乳房打撲などにより、乳房内に出血などが起こるとともに、脂肪組織が壊れて壊死に陥ることがあります。触れると腫瘤(しゅりゅう)として気づくことがあります。

原因は何か

 外力により脂肪組織内に内出血や血行障害などが起こり、炎症細胞が脂肪組織を破壊するといわれています。脂肪組織の多い乳房は些細なことから炎症が起こりやすいのです。

 比較的高齢の女性に多いので、年齢による組織回復力の低下も関係している可能性があります。

症状の現れ方

 打撲直後は、局所疼痛を訴えます。数週間後に、脂肪組織の慢性炎症によってできた腫瘤があるのがわかります。「えくぼ」症状など乳がんとまぎらわしい症状を示すことがあり、注意を要します。

検査と診断

 視触診、画像診断では乳がんと誤診されることがあるので、細胞診針生検で脂肪組織の壊死や慢性の炎症所見を確認しておきます。

治療の方法

 脂肪組織の壊死であれば自然に治るので、とくに治療は必要ありません。数カ月で腫瘤は消えてなくなります。

 乳がんではないことを確認するために、数カ月は経過を観察したほうがよいでしょう。

病気に気づいたらどうする

 腫瘤に気づいたら、専門医診察を受けてください。

 受診の際には、過去に乳房を打撲したことがあれば、必ず診療医に伝えるべきです。

関連項目

 乳がん

馬場 紀行

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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