二郎宮ノ前遺跡(読み)にろうみやのまえいせき

日本歴史地名大系 「二郎宮ノ前遺跡」の解説

二郎宮ノ前遺跡
にろうみやのまえいせき

[現在地名]北区有野町二郎

有野ありの川西岸、標高一七六メートル前後の段丘上一帯に展開する古墳時代から中世前期まで継続する集落遺跡で、最盛期は中世前期。西側には丘陵が迫り、遺跡の範囲は南北約二五〇メートル・東西約一〇〇メートルと推定される。平成六年(一九九四)発掘調査が実施され、調査面積は遺跡の広がりの約二分の一に相当する。

古墳時代後期末の遺構には竪穴住居跡一〇棟、土壙墓・土壙・用水溝などがある。住居跡は小型のものが多く、一辺四―五メートル程度の方形住居で、造り付けの竈を備えたものが四―五棟認められた。用水溝はV字状断面を呈し、幅一メートル以上、深さ一メートル前後の規模を有し、調査地内を東西に横断していた。奈良・平安時代の遺構は掘立柱建物跡五〇棟前後、溝・素掘井戸などが広く点在している。建物群はいくつかの小グループにまとまっている。グループには建替えが繰返し行われ、長期間にわたって継続するものと、短期間で廃絶するものがあるが、いずれも建物配置に顕著な規則性がなく、大型建物や瓦葺建物は認められない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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