空閑地(読み)クウカンチ

デジタル大辞泉 「空閑地」の意味・読み・例文・類語

くうかん‐ち【空閑地】

利用されずに放置されている土地空き地
まだ開墾・整地されていない荒れ地
荘園制下の免租地。
[類語]空き地空地広場広っぱ・遊休地・休閑地更地

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精選版 日本国語大辞典 「空閑地」の意味・読み・例文・類語

くうかん‐ち【空閑地】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 未開墾の荒地
    1. [初出の実例]「官人於所部界内。有閑地佃者。任聴営種」(出典令義解(718)田)
  3. 荘園制下の免租地
  4. 利用しないで、あけてある土地。空地。

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改訂新版 世界大百科事典 「空閑地」の意味・わかりやすい解説

空閑地 (くうかんち)

日本古代律令制下においては,未開の土地で,おもに開墾の対象となるような地を指す。ただし,閑地(あき地の意)と同じような意味で使用される場合もある。757年(天平宝字1)に施行された養老令では,国司防人(さきもり)に関係する土地の名称として使用されている。一つは任地の国内において国司に対して稲作の営種が許される土地で,任期中に限って用益権があり,交替の日に国家に返還する。他の一つは,防人に対して守衛地の近辺に支給される土地で,防人の食料にあてる。この空閑地は土地の状況によって,水田ないし陸田として営まれる。しかし,大宝令にはこの空閑地の用語が存在した証拠がなく,荒地の用語が使用され,しかも国司以外の部内百姓にも事実上営種が許された可能性がある。711年(和銅4)には,親王から在地の有力者におよぶまで,空閑地の開墾を要請する者は,国司を経て太政官の処分をうけよとの詔がだされた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「空閑地」の意味・わかりやすい解説

空閑地
くうかんち

古代の律令制において、開墾の対象となる未墾の土地。養老令では、田令(でんりょう)荒廃条に国司が任期中にかぎり開墾できる規定がある。また、軍防令には、防人(さきもり)に対し守衛地の近辺に食料用の土地として支給され、水田ないし陸田として営まれた。なお、大宝令の田令には空閑地の語が存在した可能性は少ない。未墾の土地は、唐令と同じように荒地(こうち)といわれたと考えられる。711年(和銅4)に、官人にかぎらず一般的に空閑地の開墾を認める手続きの詔が出された。722年(養老6)には百万町歩開墾計画が出され、「荒野・閑地」への雑穀栽培が奨励された。

吉村武彦]

『弥永貞三著『日本古代社会経済史研究』(1980・岩波書店)』『吉村武彦著『日本古代の社会と国家』(1996・岩波書店)』『天一閣博物館他校證『天一閣蔵明鈔本天聖令校證』(2006・中華書局)』

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