井口洋夫(読み)いのくちひろお

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「井口洋夫」の意味・わかりやすい解説

井口洋夫
いのくちひろお

[生]1927.2.3. 広島
化学者。有機物質の電気伝導性を研究,有機半導体発見し,その概念を確立したことで知られ,科学行政にも力を入れた。 1948年東京大学理学部を卒業,同助手,助教授を経て 1967年東大物性研究所教授。分子科学研究所 (愛知県岡崎市) の創設に参加,1975年に同教授となる。 1987年の定年退官後も同所長,岡崎国立共同研究機構長,宇宙開発事業団宇宙環境利用研究システム長をつとめる。絶縁体と考えられていた有機物質の電気伝導研究に取り組み,1954年に有機物質にシリコンなどと同じ電気的性質をもたせられるとして有機半導体の概念を提唱し,その研究を進めた。さらに非常に高い電気伝導性をもつ電荷移動錯体の研究を進め,その後の有機超伝導,導電性高分子などの研究の端緒をつくった。特殊な機能のある分子を電子回路素子に見立ててさらに大きな化合物を組立てようという「分子素子」の概念も提唱した。 2001年文化勲章受章。そのほか日本化学会賞 (1978) ,藤原賞 (1989) なども受賞。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「井口洋夫」の解説

井口洋夫 いのくち-ひろお

1927-2014 昭和後期-平成時代の化学者。
昭和2年2月3日生まれ。昭和25年有機半導体を発見。のち有機導体,有機超伝導体を開発。42年東大教授。62年岡崎国立共同研究機構分子科学研究所長となり,平成5年同機構長。40年学士院賞(赤松秀雄との共同研究),6年文化功労者。13年文化勲章。19年京都賞。平成26年3月20日死去。87歳。広島県出身。東大卒。

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