京済(読み)きょうせい

精選版 日本国語大辞典 「京済」の意味・読み・例文・類語

きょう‐せいキャウ‥【京済・京成】

  1. 〘 名詞 〙 室町時代幕府領家などに課した段銭、役夫工米その他の諸役を、守護の手を介さないで直接に京都の幕府へ納入すること。守護(使)が徴集に名をかりて乱入譴責して所領経営をおびやかすのを防ぐために、幕府にその権利を認めてもらったもの。きょうさい。
    1. [初出の実例]「止地下催促、可京済之由可仰哉之由予申之」(出典園太暦‐康永三年(1344)八月二六日)

きょう‐さいキャウ‥【京済】

  1. 〘 名詞 〙きょうせい(京済)

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改訂新版 世界大百科事典 「京済」の意味・わかりやすい解説

京済 (きょうせい)

中世において段米,段銭などの課役を各領主が現地ではなく京都で納入すること。鎌倉時代にも散見するが,一般化するのは南北朝期以降で,国済の対概念である。段銭など室町幕府下の国家的賦課徴収に際して採用された京済制は,幕府,守護,将軍直属勢力(当参奉公衆,特定の寺社公家)三者のかかわりの中で広範化する。守護は幕府諸賦課の実際の徴収者であり,守護使節の入部は幕府支配体制の中で法的に認められていた。所領の領主諸層にとっては,この守護使入部はぜひとも阻止したいことであった。将軍家当参奉公の輩の強い要求のもと,所領への守護使入部阻止のために採用されたのが,この京済制であった。将軍家と特別の関係にある寺社・公家へも採用されていった。15世紀中葉以降の守護使不入権の内容は,諸役免除や京済であった。京済制は室町幕府権力の一方の基盤であった将軍-御家人関係を実態として支える制度であった。
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