精選版 日本国語大辞典 「領家」の意味・読み・例文・類語
りょう‐け リャウ‥【領家】
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荘園(しょうえん)制における荘園領主の称。領家は荘園から一定の経済的得分(とくぶん)を得た。これを領家職(しき)といい相伝された。領家は経済的権益を得るかわりに荘園の不輸・不入権を確保し外部からの侵略を阻止していく義務があった。
領家には二義がある。(1)領家を本所(ほんじょ)または本家(ほんけ)とも称する場合。『式目新編追加』に、「諸国御家人跡(ごけにんあと)、領家進止(しんじ)タルノ所々、御家人役事」として、「御家人相伝所帯等、本所進退タリトイエドモ、サセル誤リナク改易セラレルニオイテハ、先度ノ御教書(みぎょうしょ)ノ旨ニ任セテ子細(しさい)ヲ申サルベキナリ」とあって、領家と本所とは同意義に用いられている。『式目抄』にも「本所トハ領家也(なり)。元来ノ領主ヲ云(いう)也」とある。(2)領家が荘園の諸権益を確保するために、さらに寄進契約を行って権門を上級支配者と仰ぐ場合、上級支配者を本所あるいは本家と号した。この場合、領家と本所あるいは本家とは上下の支配関係に置かれ、領家は本家に次ぐ地位にある領有者をさすことになる。たとえば肥後(ひご)国鹿子木(かのこぎ)荘の場合、大宰大弐(だざいだいに)藤原実政(さねまさ)は同荘の開発領主の子孫から「権威ヲ借ランガ為メ」といって寄進を受けて領家となったが、実政の末流願西(がんせい)は、「国衙(こくが)ノ乱妨(らんぼう)ヲ防ガズ」とこれを鳥羽院(とばいん)の皇女高陽院(かやいん)内親王に寄進して、同内親王を本家と仰ぎ、領家得分を割いて本家に納めることにしている。また、領家は本家の預所(あずかりどころ)としての地位にたつことになるところから領家を預所とよぶこともあった。
[奥野中彦]
荘園領主のうち本家の下位におかれた権門勢家。本家職(ほんけしき)が成立していない場合は,領家ひとりが荘園領主であった。平安後期以降の荘園は,平安中期の国免荘(こくめんのしょう)を前提としたものが多く,院政期には,領家であった中流の貴族や官人が,競って上級権力者に国免荘を再寄進した。こうした場合には領家の上位に本家が成立したが,再寄進されないままの荘園も多かった。寺社領の荘園では,平安中期の荘園がそのまま再編されたものも多く,荘園領主は領家のみであった。その権限は,国衙(こくが)公権を分有したものであり,預所(あずかりどころ)や上司(じょうし)を現地に派遣して荘園の経営にあたったが,実際の経営は,下級荘官である下司(げし)などの在地領主層による場合が多かった。なお,領家は職権の面からみるときは領家職とよばれた。
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…肥後国鹿子木(かのこぎ)荘は,根本領主寿妙の孫藤原高方が1086年(応徳3)私領を大宰大弐藤原実政に寄進し〈地頭預所職〉は高方の子孫相伝の職となった。一方実政の権限は,彼がまもなく失脚したため春宮大夫公実の系統に継承され〈領家職〉といわれているが,公実の孫の刑部大輔隆通(願西)は,娘の通子に〈預所職〉を与えている。いわば領家職から分化した預所職である。…
…これは,中央貴族の所有する荘園が全国各地に分散したり,在地武士の開発所領が広大な面積をほこるようになるにつれ,彼らの直接支配が困難になったという事情によるものにほかならない。中央貴族の場合でいうと,荘園を知行する中央貴族を領家(りようけ)といったが,その領家のもとには荘園を支配・管理する役人として,預所(あずかりどころ)が存在しているのが一般的であった。しかし領家の荘園の数が増えるにつれて,預所はすべての荘園を直接管理することが困難になったため,預所代という代官を任命して,荘園の管理に当たらせることにしたのである。…
…(1)古代末期~中世の荘園領主の呼称。荘園に対する進止(しんし)権の主体を意味することばで,本家―領家―預所(あずかりどころ)などと重層的に存在する荘園領主層のうち,現実に荘園の支配にあたる実権者を指した。《式目抄》に〈本所トハ領家也,元来ノ領主ヲ云也〉と規定されているように,荘園領主層のうち領家が本所の権能をもつことが多かった。…
※「領家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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