仁学(読み)じんがく(その他表記)Ren-xue

百科事典マイペディア 「仁学」の意味・わかりやすい解説

仁学【じんがく】

中国,譚嗣同(たんしどう)の著。上下2巻。別題は《台湾人所著書》。1897年刊。仏教唯識(ゆいしき)や華厳(けごん)の思想西洋の自然科学の知識をとり入れた啓蒙思想書。国家,家族における上下関係の廃止婦人の解放など万物の無差別平等を主張し,清朝を攻撃したため発禁となる。梁啓超(りょうけいちょう)が日本(横浜)で出版し,辛亥(しんがい)革命の一起因となった。

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関連語 しんがい 辛亥

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仁学」の意味・わかりやすい解説

仁学
じんがく
Ren-xue

中国,清末の革命思想家譚嗣同 (たんしどう) の主著。上下2巻。 1896~97年の著作という。康有為の変法自強運動の熱烈な協力者であった譚は,思想上でも康の『大同書』の主張を継承孔子を改革者とし,素朴な科学知識をあてはめて,宇宙に充満するエーテルが仁という根本原理であるとした。また仏教,キリスト教なども取入れて,極端な博愛平等を主張,中国の旧秩序を激しく批判し,理想社会の実現を説いた。譚の刑死後,日本の横浜で梁啓超により出版された。

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世界大百科事典(旧版)内の仁学の言及

【大同思想】より

…彼の主著《大同書》には,このような世界改革のプランと道程が示されている。彼の大同思想は,私淑の弟子譚嗣同(たんしどう)の《仁学》にうけつがれているが,一方その反対派である孫文の三民主義や蔡元培の社会思想にも,大同思想が見られ,さらに,現代の毛沢東の思想にさえも,かすかながらその影響を見ることができる。【坂出 祥伸】。…

【譚嗣同】より

…北京では梁啓超,夏曾佑らと交わり,翌年,候補知府として南京に在職中は,楊文会について仏教を学んだ。彼の名著《仁学》が完成したのは,この年のことである。97年秋,湖南に帰り,時務学堂,南学会の設立,日刊新聞《湘報》の発行など,変法維新の宣伝のために目まぐるしく奔走した。…

※「仁学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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