今上河岸(読み)いまがみがし

日本歴史地名大系 「今上河岸」の解説

今上河岸
いまがみがし

[現在地名]野田市今上、埼玉県吉川市八子新田・下内川など

上村に置かれた江戸川の河岸。奥州・常陸・下総筋の諸商人荷や近在年貢米などを江戸まで送るのに用いられた。河岸場は江戸川の両岸にあり(右岸は現在埼玉県域)、津出河岸は上・中・下の三河岸に分れ(野田市立興風図書館所蔵文書)、また醤油などを積出した仁左衛門にざえもん河岸は野田下河岸ともよばれた(対して中野台村の河岸場を野田上河岸といった)。当河岸がいつ頃から機能していたのかは未詳だが、今上村名主吉右衛門は元和九年(一六二三)頃から近在の城米や野田町商人の諸荷物、材木・竹などを積送ってきたと記している(明和九年「河岸場渡世議定」田中家文書、以下断りのない限り同文書)。また天和元年(一六八一)には今上新田の佐左衛門らが新規に道筋を立て、奥州から江戸への荷はもちろん、関宿せきやど通の鬼怒川船の荷なども問屋として扱っているとして、さかい通の馬継七ヵ所の問屋から訴えられており(岩井市近世史料集)、これは当地に河岸場が設けられていたために生じた対立であろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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