仏歯寺(読み)ブッシジ

デジタル大辞泉 「仏歯寺」の意味・読み・例文・類語

ぶっし‐じ【仏歯寺】

スリランカ中部の都市キャンディにある仏教寺院。キャンディ湖のほとりに位置する。16世紀、キャンディ王朝ウィマラ=ダルマ=スリヤ1世により建立。4世紀にインドからセイロン島にもたらされ、王権象徴となった釈迦の歯を祭る。1988年に「聖地キャンディ」の名称世界遺産文化遺産)に登録された。ダラダマリガワ寺院

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仏歯寺」の意味・わかりやすい解説

仏歯寺
ぶっしじ

スリランカの古都キャンディにあり、スリランカ仏教信仰の中心をなす寺。ダラダ・マリガワDaadā Māligāvaの訳。仏牙(ぶつげ)寺とも訳す。王権の象徴である仏陀(ぶっだ)の歯を祀(まつ)るが、この仏歯は4世紀初頭にインドのカリンガ国からもたらされたとされ、アヌラダプーラ以後の歴代王都とともに変遷してきた。現在の仏歯寺はキャンディ王国時代ビマラダンマスーリヤ1世(1592―1640)が創建、キールティ・シュリー・ラージャシンハ王(1747―81)が再建、同王国最後の王シュリー・ビクラマ・ラージャシンハ(1798―1815)が寺の正面の八角堂と湖をつくった。この寺の仏歯を先頭に市内を回り歩くエサラ月(6~7月)の豊饒(ほうじょう)祈願祭エサラ・ペラヘラ(ペラヘラ祭)はスリランカ最大の祭りである。

[渡辺章悟]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仏歯寺」の意味・わかりやすい解説

仏歯寺
ぶっしじ
Tooth Temple; Dalada Maligawa

スリランカ中部,カンディーにある釈迦の歯をまつる寺。正式にはダラダ・マリガワ。もと,仏歯はアヌラーダプラにあったが,タミル族侵入で持ち去られ,その後返還されてカンディーにまつられたといわれる。スリランカの仏教徒の信仰の中心であり,歴代首相も就任後はこの寺に参拝するならわしとなっている。年に1度,夏に仏歯をゾウの上に載せて練り歩く盛大な祭りエサラ・ペラヘラ (ペラヘラ巡幸祭) が行なわれる。建物は 17世紀の木造建築の代表例である。

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世界大百科事典(旧版)内の仏歯寺の言及

【仏歯祭】より

…そのもようは,5世紀初めにスリランカを訪れた法顕(ほつけん)の《仏国記》などにも記されている。その後幾多の変遷はあったが,現在この仏歯はスリランカ中南部キャンディの仏歯寺(ダラダ・マリガーワDalada Maligawa)に安置され,これを中心に今も8月になると,10日間にわたって盛大な祭りが繰り広げられる。スリランカではこの祭りをペラヘラ祭Peraheraといい,島で最大の祭りとなっている。…

※「仏歯寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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