製品やサービスができあがるまでに、どの国で価値が加わったかを分析するための貿易統計。略称TiVA。経済協力開発機構(OECD)と世界貿易機関(WTO)が共同開発したものである。この指標の特徴は、複数国にまたがる貿易が行われた場合に、より実態に即した貿易の形態が浮かび上がるという点にある。たとえば日本で生産された中間財が中国に輸出され、中国で組み立てられた最終財がアメリカに輸出される場合、従来の指標で分析すると、日本の対中貿易黒字と中国の対米貿易黒字が拡大する。しかし、中国からアメリカに輸出された最終財には日本産の大きな付加価値が含まれているため、付加価値ベースは日本からアメリカに輸出されたことになる。つまり、付加価値貿易イニシアチブに基づく計算では、日本の対中黒字は縮小し、対米黒字が拡大する。
2013年(平成25)1月に公表された第1回の結果によると、2009年の日本の輸出相手国は、輸出総額ベースの計算では中国が24%で1位、アメリカは22%で2位であるが、付加価値ベースでは1位がアメリカ(19%)、2位が中国(15%)と逆転する。また、付加価値ベースで貿易黒字をみると、対中国、対韓国では黒字はほとんどなくなり、対アメリカの貿易黒字が総額ベース比で60%増加する。これは日本からアジアへの中間材輸出が最終的にアメリカで消費されるためである。この統計のデータと同年5月に発表された国別の詳細データ(カントリーノート)は、OECDのホームページで公開されている。
[編集部]
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