江戸中期の儒者。名は長堅(ちょうけん)、字(あざな)は才蔵(さいぞう)、号は蘭嵎。伊藤仁斎(じんさい)の4男中の末子で、東涯(とうがい)の異母弟。長兄東涯の字の源蔵(げんぞう)とあわせて「伊藤(堀河(ほりかわ))の首尾蔵(しゅびぞう)」とたたえられた。若くして父を失ったので兄東涯から仁斎の学を教わり、1731年(享保16)紀州侯に仕え、子孫に儒職を伝えた。しかし、かならずしも家学を墨守せず、『大学』『中庸(ちゅうよう)』に異見をもち、父兄が重んじた『論語』『孟子(もうし)』より五経に力を入れ、『詩経古言』『書反正』『易本旨』『春秋聖旨』『読礼記』などの著書に独創的見解を示し、詩文集『紹衣稿(しょういこう)』を残している。
[石田一良 2016年4月18日]
『加藤仁平著『伊藤仁斎の学問と教育』(1940・目黒書店/復刻版・1979・第一書房)』
(三宅正彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
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