デジタル大辞泉
「墨守」の意味・読み・例文・類語
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ぼく‐しゅ【墨守】
- 〘 名詞 〙 ( 墨子がよく城を守って、楚の軍をしりぞけたという故事から ) 頑固に守り通すこと。また、自説をかたく守って変えないこと。
- [初出の実例]「発二彼先儒之墨守一、撃以二後学之蒙求一」(出典:本朝文粋(1060頃)九・後漢書竟宴詠史得龐公詩序〈紀長谷雄〉)
- [その他の文献]〔後漢書‐鄭玄伝〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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墨守
頑強に守り通すこと。自説や旧習などをかたく守って譲らないこと。
[使用例] 之を墨守して退くは之を活用して進むに若かず[福沢諭吉*文明論之概略|1875]
[使用例] 斯くして数十年に亙る天文学の難題は渙然氷釈して、学者も世間も相対性原理を信用するに至った。ただ、古典式を墨守する人はこの限りにはいらない[長岡半太郎*アインシュタイン博士のこと|1948]
[由来] 「[墨子]―公輸」に見える話から。紀元前五世紀ごろ、中国の戦国時代。公輸盤という技術者が、敵の城壁を乗り越えるのに便利な「雲梯」という大きなはしごを開発し、楚の国の王に献上しました。王は、この新兵器を使って、宋の国を攻めようと計画します。それを伝え聞いた非戦主義者の墨子は、楚王のところに駆けつけ、攻撃をやめさせようとしました。しかし、楚王は新兵器を試してみたくてしかたありません。そこで、墨子は公輸盤を相手に模擬戦を提案。九回戦って九回とも勝ち、雲梯を使って攻められても城を守りきることができることを示したのでした。
[解説] ❶墨子は、孟子や荘子と並ぶ中国古代の思想家の一人ですが、非戦主義者であるとともに、高い築城技術を持つ技術者でもありました。この話で行われた模擬戦の詳細はわかりませんが、新兵器で攻められてもびくともしない城の築き方を示したのでしょう。❷この話から生まれた「墨守」とは、本来は「守りがとても固い」という意味。「信念を守り抜く」というプラスのニュアンスで使うこともできますが、現在では、「自分の考えを守り過ぎて、変化を受け入れられない」というマイナスのニュアンスで用いるのがふつうです。
〔異形〕旧套墨守。
出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報
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普及版 字通
「墨守」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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墨守
ぼくしゅ
かたくなに守り通すことや、自説や我意を固持して曲げないことをいう。中国、戦国時代初期の周の思想家墨翟(ぼくてき)(墨子)が、宋(そう)の軍に加わって楚(そ)軍と戦った際、楚の魯般(ろはん)(公輸盤(こうしゅはん))が発明した新兵器の雲梯(うんてい)を用いて、9回にわたり攻撃を仕掛けたが、ついにこれを耐えしのいで城を守り抜いた、と伝える『墨子』「公輸篇(へん)」の故事による。
[田所義行]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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