伊那郡(読み)いなぐん

日本歴史地名大系 「伊那郡」の解説

伊那郡
いなぐん

和名抄」記載の古代信濃国一〇郡の一つ。信濃国南部、天竜川の流域を総称して伊那谷という(ただし上流の諏訪地方を除く)が、伊那郡とはこのいわゆる伊那谷に付けられた郡名である。諏訪湖を源とし、西に流れ出す天竜川は、現在の上伊那郡辰野たつの町地域で直角に方向を変え、ほぼ直線的に南流し、西を木曾山脈、東を赤石あかいし山脈に挟まれ、これらの山脈から注ぐ一〇余の支流を合わせて遠州灘に注いでおり、延長約二一六キロ、わが国有数の大河である。伊那郡はその中流の流域にあり、南北約六〇キロ、東西約四キロの狭長な地域で、南は駿河国・遠江国、東は甲斐国、西は筑摩つかま(現木曾郡)、北は諏訪郡・筑摩郡に接する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の伊那郡の言及

【被官百姓】より

…信濃国(長野県)伊那郡を中心に,江戸時代に存在した農繁期の農業労働や家事労働を提供する小作人をいう。この小作人を持つ地主を〈おやかた〉とか〈おえい〉と呼び,〈御館〉〈御家〉の字をあてている。…

※「伊那郡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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